ユーザー中心設計におけるアクセシビリティ: ユーザビリティ・テスト
「アクセシビリティの評価」のページでは、標準のレビュー、ヒューリスティック評価、設計ウォークスルー、および障害のあるユーザーによる非公式の評価を含め、アクセシビリティを一般的な評価方法に含めるためのガイダンスを示しています。本セクションでは、障害者が参加するユーザビリティ・テストの概要を示しています。
ユーザビリティ・テストでは、実際のユーザーが製品を使用して実際のタスクを行うことにより定量的および定性的データが得られます。ユーザビリティの専門家は、障害者を参加させるために多少変更して、標準のユーザビリティ・テスト・プロトコルを用いて、アクセシビリティのいくつかの側面を評価することができます。
あなた自身が、ユーザビリティの専門家である必要はなく、障害者を評価に参加させるための正式なユーザビリティ・テスト・プロトコルにしたがう必要はありません。短い非公式の評価では、正式なユーザビリティ・テストの厳密さが要求されることなく、障害者から貴重なフィードバックを得ることができます。ほとんどの場合、ユーザーを評価に参加させるためには、下記のことが必要です。
- 数人の障害者を見つけること。
- プロトタイプでタスクを完了するように頼むこと。
- プロトタイプの使い方を観察すること。
- アクセシビリティの問題を一緒に議論すること。
ユーザビリティ・テストでは、一部の障害者にとってアクセシビリティ・ソリューションがどの程度利用できるかを評価しますが、アクセシビリティのすべての問題に取り組むことはできず、アクセシビリティの標準へ準拠しているかどうかは評価しません。標準のレビューを含め、アクセシビリティを他の評価方法へ組み込むためのガイダンスに関しては、「アクセシビリティの評価」を参照してください。障害者が参加する正式なユーザビリティ・テストを実施する前に、他の種類の評価を実施することが最も効率的です。
ある企業は、スクリーン・リーダーのユーザーを参加させて教育用ソフトウェア・アプリケーションのユーザビリティ・テストを実施しました。この製品は、ある主要なスクリーン・リーダーで使用することができませんでした。すべてのユーザーは、コンテンツを手に入れるために自分が知っている方法を試した後、いらいらし、混乱し、20分もしないうちにあきらめました。この企業は、より簡単で安価な評価方法で学べたであろうことを、正式なユーザビリティ・テストに6000ポンド費やして学んだのです。
製品開発プロジェクト全体を通して非公式の評価を実施することは、プロジェクトの最後に正式なユーザビリティ・テストを実施するよりも効果的です。これらの章では、正式なユーザビリティ・テストをカバーしていますが、ほとんどの情報は、非公式の評価、フィールドテスト、その他の障害者との共同活動にも適用できます。
障害者が参加する正式なユーザビリティ・テストでは、標準的なプロトコルを使用する場合もあります。しかし、アクセシビリティの問題を探求するためにユーザビリティ・テストを設計する場合、下記に示すように、プロトコルは、典型的な一般のユーザビリティ・テストとは異なる場合があります。
- 進行役とのやり取りが多い場合、発話法のテクニックを使用してもよいでしょう。
- データ収集では、時間通りのタスク完了やユーザーの満足度ではなく、アクセシビリティの問題に関連するミスを理解することが重視されるでしょう。
- タスクでは、一般的なサイトの使用ではなく、潜在的なアクセシビリティの障壁に関する特定の分野に重点を置くでしょう。
障害者が参加するユーザビリティ・テストに関する詳細なガイダンスに関しては、下記のセクションを参照してください。
- 「ユーザビリティ・テストの計画」では、参加者の特性の判断、参加者のリクルート、最適な場所の選択、および適切な時間のスケジュールに関して説明します。
- 「ユーザビリティ・テストの準備」では、アクセシブルな設備の準備、テスト資料の作成、参加者の構成を設定およびテスト、支援技術に慣れること、およびパイロットテストの実施に関して説明します。
- 「ユーザビリティ・テストの実施」では、部屋内部の配置、参加者に対するオリエンテーション、事務手続き、タスクの完了、データ収集、報酬の提供、およびさまざまな障害を持つ人に対する具体的な考慮に関して説明します。
- 「ユーザビリティ・テストの報告」では、アクセシビリティおよびユーザビリティの問題の区別、関連する調査パラメータを含めること、分類と比較に関する注意、結論の明確化、および障害者について文章を書くことに関して説明します。
- 「ユーザビリティ・テストのチェックリスト」では、障害者が参加するユーザビリティ・テストの計画、準備、実施、および報告に伴うタスクおよび考慮をまとめています。
- 「参加者のリクルート条件」では、リクルート面接で尋ねる質問を挙げています。
「障害者との対話」の章では、ユーザビリティ・テストに関する追加情報を提供しています。「補遺: 参考文献」の「ユーザビリティ評価、ユーザビリティ・テスト」セクションのでは、ユーザビリティ評価およびユーザビリティ・テストに関する一般情報が記載されている参考文献を示しています。