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Just Ask: デザインプロセスを通じて取り組むアクセシビリティ

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ユーザー中心設計におけるアクセシビリティ: 背景

ユーザー中心設計にアクセシビリティを組み込むための目標は、能力の異なるできる限り多くの人が、できる限り幅広い状況(環境、条件、および状態)で使用でき、商業的にも実現性のある製品(装置、環境、システム、およびプロセス)を製造するプロセス」にしたがうことにあります[1]。

本書のパートIIは、ユーザー中心設計(UCD)に慣れ、アクセシビリティの基本を理解している人を対象としていますが、UCDやアクセシビリティに詳しくない人のための概要説明および参考文献へのリンクも含まれています。

本章では、UCDやアクセシビリティに関しては完全にはカバーしていません。下記のトピックに関して簡単に紹介しています。

アクセシビリティとは何か?

アクセシビリティとは、基本的に障害者が製品を使用できることを意味します。より具体的には、能力の異なるさまざまな人が認識でき、操作でき、理解できるユーザー・インターフェースを作ることを意味します。この中には、視覚、聴覚、身体、言語、認知、精神など、すべての障害あるいは体の機能の制限が含まれます。また、この中には、腕の骨を折った場合や眼鏡をなくした場合など一時的な状態も含まれます。

また、アクセシビリティは、製品を幅広い状況においてさらに使いやすくします。状況による制限は、状態、環境、および条件により生じ、障害のない人にも影響を及ぼすことがあります。たとえば、状況による制限には、注意して見ていなければならない状態(運転中)、日光がまぶしい状態、暗い部屋、両手がふさがっている状態、静かな環境(音を立てたくない)、うるさい環境(良く聞こえない)、そして緊急時(頭がぼんやりしてクリアに思考できない)において、インターネットや携帯電話を使用する場合も含まれます。

つまり、アクセシビリティは、障害者の使い勝手の向上が目標ですが、障害のない人やアクセシブルな製品を開発したい企業にとっても役に立ちます。というのは、体の機能の制限に対応した設計は、状況による制限に対応した設計と重なる部分があるからです。

Webアクセシビリティが企業および個人にどのような利点をもたらすか、その具体的な例を含むWebアクセシビリティについてのさらに包括的な紹介がWebアクセシビリティを理解するの章にありますので、参照してください。

ユーザビリティに関するアクセシビリティ

アクセシビリティには、技術的な要素とユーザー・インターフェースの要素があります。ユーザー・インターフェースのアクセシビリティに関しては、ユーザビリティを通しての取り組みが可能です。国際標準化機構(ISO) 9241-11では、ユーザビリティに関して、特定のユーザーが効果的かつ効率的に特定の使用状況において満足した上で特定の目標を達成するために、製品がどの程度使用できるかということ、と定義されています[2]。アクセシビリティでは、特定のユーザーとして障害者を、また使用状況として支援技術などの幅広い状況を含めることに重点が置かれています。

簡単に言うと、ユーザビリティとは、効果的かつ効率的で満足のいくユーザー・インターフェースを設計することを意味します。アクセシビリティは、ユーザー・インターフェースを、できる限り多くの人、特に障害者にとって、また支援技術を含むより幅広い状況において、効果的かつ効率的で満足のいくように設計することを意味します。

アクセシビリティとは、より幅広い状況より多くの人が製品を効果的に使用できるユーザー・インターフェースを設計することを意味します[3]。

アクセシビリティとユーザビリティの関係については、ユーザビリティ・テストの報告の章の「アクセシビリティおよびユーザビリティの問題の区別」、およびオンラインの参考文献であるアクセシビリティとユーザビリティの関係の中で詳しく説明しています。

次のセクションでは、ユーザー中心設計プロセスを、アクセシブルな製品の設計に適合させる方法に関して説明します。

ユーザー中心設計とは何か?

ユーザー中心設計(UCD)は、インターフェースの設計におけるユーザビリティの目標、ユーザーの特性、環境、タスク、およびワークフローに重点を置いたユーザー・インターフェースの設計プロセスです。UCDは、主要なハードウェア、ソフトウェア、およびWebインターフェースの分析、設計、および評価に関して適切に定義された一連の方法およびテクニックにしたがっています。UCDのプロセスは双方向のプロセスであり、設計と評価のステップは導入を通してプロジェクトの最初の段階から組み込まれます。

双方向システムに関するISO 13407 人間中心設計プロセスでは、次のように記載されています。 すなわち、ユーザー中心設計は、システムを利用可能にすることを特に重視した双方向システム開発に対するアプローチの1つであり、多くの専門分野にまたがる活動です [4]。

基本的な原則とテクニックは同じですが、ユーザー中心設計プロセスにはさまざまなバリエーションがあります。下記の例は、ソフトウェアユーザー・インターフェースの設計の一般的なUCDプロセスの1つです。

UCDプロセスの段階およびステップの例

Webサイトの再設計に関するユーザー中心設計プロジェクトの例に関しては、WAI Webサイト再設計プロジェクト」を参照してください。

ユーザー中心設計は、段階:分析、設計、評価の3つの段階に分かれています。

通常、分析段階には次のステップが含まれます。

  1. ビジョン、目標、目的
  2. ユーザー分析
  3. タスク分析
  4. 情報アーキテクチャ分析
  5. ワークフロー分析

通常、設計段階には次のステップが含まれます。

  1. コンセプト/心理モデル、メタファー、設計コンセプト
  2. ナビゲーション設計
  3. ストーリーボード、ワイヤーフレーム
  4. 詳細設計
  5. 紙面上あるいはその他の低再現性プロトタイプ
  6. オンラインモックアップなどの中再現性プロトタイプ
  7. 機能的な高再現性プロトタイプ

評価では、次のようなテクニックが使用されています。

  1. 設計ウォークスルー、認知ウォークスルー
  2. ヒューリスティック評価
  3. ガイドラインのレビュー
  4. ユーザビリティ・テスト: 低再現性のものから高再現性のものまで、非公式なものから正式なものまで

ユーザビリティ・テスト・プロトコルの例に関しては、「WAI Webサイトユーザビリティ・テスト」を参照してください。

UCDに関する詳細な文献およびオンライン記事のリストに関しては、「補遺: 参考文献」の「ユーザー中心設計」を参照してください。

アクセシビリティのユーザー中心設計への組み込み

先に述べたように、UCDは、便利な製品を設計するプロセスの1つであり、ユーザビリティの一環としてユーザー・インターフェースのアクセシビリティに取り組むことが可能です。UCDを使用してアクセシブルな製品を設計することができます。実際に、アクセシブルな設計テクニックは、確立されているUCDプロセスに適合しています。

設計チームは、わずかに追加したり適合させたりするだけで、標準的なUCDを実施して、アクセシビリティにフォーカスした設計を行うことができます。アクセシビリティをUCDへ組み込むことは、設計者ができる限り幅広いユーザーおよび状況を取り込むことを意味します。

アクセシビリティがどのようにUCDに適合するか、下記に例を示します。

下記では、アクセシビリティをユーザー中心設計プロセスに組み込む方法に関して説明します。

参考文献

  1. Vanderheiden, G.C, and Tobias, J. Universal Design of Consumer Products: Current Industry Practice. Madison, WI: Trace Research and Development Center, 2000.
  2. International Organization for Standardization ISO 9241-11. Ergonomic Requirements for Office Work with Visual Display Terminals, Part 11: Guidance on Usability, 1998.
  3. Henry, S.L. "Understanding Web Accessibility", Constructing Accessible Websites. Birmingham, UK: glasshaus, 2002.
    Henry, S.L. "Understanding Web Accessibility", Web Accessibility: Web Standards and Regulatory Compliance. Berkeley, CA: friends of ED/Apress, 2006.
  4. International Organization for Standardization ISO 13407. Human centred design processes for interactive systems, 1999.

本章の一部の情報は、下記の文献として既に出版されています。

  • Henry, S.L., Martinson, M.L., Barnicle, K. Beyond Video: Accessibility Profiles, Personas, and Scenarios Up Close and Personal. Proceedings of UPA 2003 (Usability Professionals' Association annual conference), 2003.
  • Henry, S.L. Another-ability: Accessibility Primer for Usability Specialists. Proceedings of UPA 2002 (Usability Professionals' Association annual conference), 2002.
  • Henry, S.L., Law, C., and Barnicle, K. Adapting the Design Process to Address More Customers in More Situations. Proceedings of UPA 2001 (Usability Professionals' Association annual conference), 2001.


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